【インタビュー】原健悟さん 精巣腫瘍 サバイバー

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精巣腫瘍 サバイバー 原健悟さんのインタビューです。

目次

基本情報

名前: 原健悟さん >>5yearsプロフィール
年代: 40代、男性
病名: 精巣腫瘍
病理:
進行:ステージの告知はありませんでした(主治医、曰く、一般的に精巣腫瘍では告知しないとのことでした)。
発症:2016年1月
発生時年齢:47
受けた治療:BEP療法(シスプラチン・エトポシド・ブレオマイシン)・外科手術(高位精巣摘除術)
期間:2016年1月~4月(自宅療養期間も含めると5月)。 
合併症:なし。
職業:福祉職
生命保険:アフラック スーパーがん保険
(契約したのが20年以上前の20代の頃なので、当時と治療法も変わり先進
医療特約などが付いておらず、また、診断給付も1回のみという条件なので
この先再発、あるいは他部位り患した場合が心配です。)

>>原健悟さんの「ストーリー」はこちら

>>原健悟さんの「がん経済」はこちら

お風呂で見つけた身体の異変をしばらくの間、家族にも明かしません。不安ではなかったですか?

社会福祉士の国家試験を控えていたこともあり、そちらのほうに気持ちがいっていたこと、精巣腫瘍自体をその時点で知らなかったことで特に不安はなかったです。

2016年1月24日、試験の後、奥さまに身体の異変を伝えられます。奥さまの様子はいかがでしたか?

とくに変わりなく淡々と話を聞いてくれました。

その後、クリニックで診察してもらいます。医師に性器をみられるのは恥ずかしくなかったですか?

不思議となかったです。逆にしっかり診てもらって何が起きているのかはっきりさせたかったです。

クリニックの医師から、詳しく診てもらうために紹介状を書くと言われた時の心境を教えてください。

なんか厄介な病気なのかなくらいに考えていました。

クリニックに行く理由を家族の病院の付き添いだと方便を使われたのはなぜですか?

説明がややこしそうだったので、とりあえず方便を使いました。

市立病院でCT画像検査の後、精巣腫瘍を告げられます。専門的な医療用語で説明されますが、どのように受け止められましたか?

えっ!まさか・・・。タバコも吸っていたし、罰が当たったのかな???でも、なぜ、がんなんだ?といった心境でした。

医師からの「根治を目指しましょう」という言葉が心に響いた理由を教えてください。

がんでも治るんだ!と素直に受け止めることが出来た。あとは、1日も早く今まで通りの日常を取り戻したいと思いました。

初診からわずか4日後に摘出手術をされることに抵抗感はありませんでしたか?

主治医、曰く、「進行が早いから以前なら、その日のうちに摘出した方が良いと言われていたけど、いまはそこまでしなくてもいいけど出来るだけ早く取った方がいい」という説明があり、私自身も話を聞いて「そういうことなら・・」と考えていたので抵抗感はありませんでした。

帰宅して、奥さまにがんの事実を伝えます。その時の奥様の様子はいかがでしたか?

えっ??まず驚いていました。私の父のことも知っていて、思いがけず旦那の僕が、部位こそ違えど、同じがんと言う病気にり患してしまったことで、気持ちが動転していた様子でした。

1月29日に手術を受けます。当時、どのようなお気持ちで手術を受けていましたか?

兎に角、うまくいってほしい。それだけでした。

PET-CTの結果、BEP療法なります。なぜ、その薬の組み合わせになったのでしょうか?なぜ、EP療法ではなかったのですか?

ブレオマイシンのリスクは大きいですが(間質性肺炎)、逆にそれだけ効き目があるということ、医師からも、エビデンスに基づいてBEP療法をすすめられた。また、治療期間に1カ月の違いがあること(BEP 3クール で約3カ月、EP 4クールで約4カ月)で少しでも早く治療が終わる可能性がある方を選びました。

それまで月に1~2回しか話さなかったお父様と毎週のように電話で話します。どのようなことを話していたのですか?話すと落ち着きましたか?口喧嘩になることは無かったですか?

特にがん発覚してからは、頻度ももう少し多い月もあったと思います。
話の内容としては、お互いのがん治療法について(使用する抗がん剤はこれこれや、私の場合、入院して一定期間集中して抗がん剤投与するが、父は最初1カ月入院した後は外来受診)や近況、気持ちなどを離していました。口げんかは無かったです。

BEP療法はいかがでしたか?副作用はいかがでしたか?

開始して1週間くらい経って、脱毛が始まりました。その後、倦怠感、食欲不振、皮膚の乾燥、吐き気、骨髄抑制などの副作用が出ました。3クール目の途中あたりで色素沈着(目のところに紫色の筋が出る)があり副作用のフルコースを経験しました。
話が反れますが、倦怠感や皮膚の乾燥ですが、副作用からなのか環境要因からくるものなのかどうなんでしょう。横になっていれば、日常でも倦怠感を感じることはありますし、皮膚の乾燥も病室はエアコン暖房(電気式)なので乾燥しやすいといった(個人的な原因として元々、乾燥肌というかたもおられると思います)状況があります。

点滴で繋がっているのが嫌だったと伺いました。それは、どんな感じで嫌だったのでしょうか?

まず、多少の痛みを伴うことです。あと、点滴台があることで行動に少し制限がかかること(フロア間の移動はエレベーター利用)でした。

抗がん剤治療中の入院病棟での生活を教えてください。

ありきたりですが、本を読んだり、DVDやスマホで動画を見たり、天気がよければ病院の外を散歩したり(点滴が外れている時)していました。

抗がん剤治療中、2人の子供たちの様子はいかがでしたか?

普通に接してくれていました。有難かったです。

ハンバーグを食べたいと思うのに、ハンバーグの匂いで吐いてしまうのですか?

油の匂いに反応してしまったようです。脂っこいものは控えた方が良かったのかも知れませんが、なぜか無性に食べたくなりました。

アイスホッケーに戻りたいというお気持ちは治療にプラスに働いたと思いますか?

そうですね。プラスに作用したと思います。

抗がん剤治療中に外泊して自宅に戻ります。どのようにして過ごされていましたか?病院に戻るのは嫌でしたか?

家族で外食したり、テレビを見たり、日程が合えば、近くの総合病院のがんサロンに参加していました。病院に戻るのは正直、嫌でした。

寛解を告げられた時のお気持ちを教えてください。

言葉にできないです。

寛解の知らせに山口県のお父様は何と言われていましたか?どんな反応でしたか?

よかったな。と一言だけ言っていました。

奥様は、寛解の知らせを受けた時、病院にいらしたのですか?どんなご様子でしたか?

安堵の表情でした。涙を流していました。

治療中、職場を欠勤扱いになり収入が途絶えます。不安はありましたか?

不安はあまりなかったです。元々、欠勤扱いにしてほしいと言ったのも私の方からだったので(有休だけでは、休みの期間が賄えなかったので)。
あと、傷病手当金の存在を知っていたので(手続きのやり方までは知りませんでしたが)、解雇にならない限りは何とかなるだろうと考えました。

復帰して間もなくフルタイムで働きます。ちょっと早くなかったですか?

今にして思えば、早かったと思います。ですが、月2回の受診で半日~1日ずつ休みをもらっていたので、有休の減りが気になり、多少無理してでもという考えになりました。

職場復帰してしばらくの間、苦労されたことを教えてください。

仕事の段取りでしょうか。忘れていることもあり、とんちんかんなことをやっていたこともありました。
3カ月くらい経った頃、利用者に不用意な物言いをして人間関係にひびが入り、まわりのスタッフに迷惑をかけてしまいました。

5月に復帰して、夏には神戸ペンギンズにも復帰されます。体調は大丈夫だったのでしょうか?

正直、その点、不安はありました。ですが、最初は慣らしからはじめ無理せずにプレーしていたので、大丈夫でした。

がん治療中にご家族がしてくれたことで感謝していることは?

普通に接してくれたことでしょうか。あとは、忙しい中、妻はほとんど毎日、病院に 来てくれ、少しの時間でしたが話をして家の様子も分かったし、何より、いい気分転換になったと思います。

5回目の試験で国家資格の社会福祉士に合格されます。病気前にはなかなか合格できなかった資格試験なのに、病気後一発で合格すると言うのは驚きです。何が良かったのでしょうか?

正直なところ、本番では手ごたえが感じられなかったので、半分あきらめていました。  勉強方法も、とくにそれまでと大きく変えたわけでもなかったですが、ただ、とにかく、 わかる問題はしっかり解こうという姿勢がよかったのかなと。

がんを経験して感じたこと

今でこそ、副作用の少ないとされる分子標的薬が出てきて、患者の負担も以前に比べて軽減されてきているようですが、抗がん剤治療は、無差別攻撃で正常な細胞にもダメージを与えてしまう。がん自体、例外はあれど、元々、自分の体の細胞分裂の異常に起因するものなので、表現としてよいのかわかりませんが人間の体の理不尽さを感じました。

がんになって失ったもの、得たもの

【得たもの】

  1. 何気ない日常のありがたさ。
  2. タバコを吸わなくなった。

【失ったもの】

  1. 体の一部(精巣の片方)。
  2. 時間。

大切にしている言葉

粘り

現在治療中の方々に伝えたいこと

いろんな状況の方がいると思います。私ごときが大層なことは言えませんが、大事なことは治療を信じて向き合っていくことでしょうか。

現在治療中の患者さんのご家族に伝えたいこと

普通に接してあげてください。少々、不愉快な言動があっても「病気がそうさせているんだ」ととらえて受け止めてあげてください。しんどいと思います。ですが、患者自身はもっとしんどい思いと葛藤しています。

原さんが、いま、やられていること、今後、やろうとされていること、やりたいこと。

今は、5YEARSをはじめとするがん患者会に少額ながら、寄付をさせていただいています。将来、医療ソーシャルワーカーとしてがん患者(だけではないですが)を支えていきたいです。

がん患者がしてはいけないこと(3つ)

  1. 自暴自棄になる。
  2. 医者の言うことを聞かないこと。
  3. 自殺。

がん患者がするべきこと(3つ)

  1. 医者の言うことを聞くこと。
  2. まずは、落ち着くこと。
  3. ありがとうを口癖にすること。

周囲から掛けられた言葉で、嬉しかった言葉

よかったね。くらいでしょうか。

周囲から掛けられた言葉で、不愉快に感じた言葉

とくにありません。

復職する際に大切なこと

  1. 自分でどうしたいのかある程度考えておくこと。
  2. 体調管理。
  3. 周囲への配慮(好きでなったわけではないし、理不尽さを感じますが、急な休みなど取る場合もあるので)。

当時参考にした本

  1. 抗がん剤が効く人、効かない人(長尾和宏著)
  2. 医療否定本に殺されないための48の真実(長尾和宏著)
  3. 長尾先生、「近藤誠理論の」どこが間違っているのですか?(長尾和宏著)

他に、がんとお金の本(黒田尚子著)。いのちのスタートライン(大久保淳一著)。
ただ、マイヨジョ―ヌのためでなく(ランスアームストロング著)。

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>>原健悟さんの「がん経済」はこちら

取材:大久保淳一
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